サンタにだってクリスマス

文 つっきん


クリスマ・イブは今夜だぞ。
夜明けとともにサンタクロースはパタパタ・パタパタおおいそがし。
とにかく、じゅんび、じゅんびじゅんび!
いそげ、いそげ、いそげ!
わすれもの、わすれもの、おっとっとっと、とにかくいそげ!
パンパンッと手をたたいて、きあいを入れたら「どっこらしょ!」

プレゼントでいっぱいの大きなふくろをかかえてそそくさ、そそくさ
むかうは、うらにわ。ものおき小屋。
ものおき小屋???
ジャーーーン♪
あらま、そこには なんと 飛行機!
サンタは、1年かけて、この飛行機をコツコツ作っていたらしい。
ちょっぴりサンタはいばって鼻の下を指でごしごししながら、かるーく、エヘンッ
「どうだい、なんていかした飛行機だ!」

サンタのおはなし はじまり はじまり

サンタはポケットからおもむろにカギを取り出し
ブルルン、ブルルン。エンジン オッケー。異状なし。
赤い服に、赤い帽子。
赤い長靴、白いひげ。
わくわくはじめてのゴーグル ばっちりつけて
まずは、トナカイ迎えにいこう!


ブルルン、ブルルン、ヒュ〜〜〜ン。

サンタのパートナーのトナカイは
あたまにかわいいリボンでおしゃれして
目をくりくりさせながら
彼が来るのを、今か今かと待っていた。
サンタが飛行機を作ったらしいということは
風の便りに聞いていた。
はじめての飛行機。なんて楽しみなんでしょう!

ブルルン、ブルルン、ブルルルル・・・
「やぁ、おまたせ。さ、となりへどうぞ。きみの指定席」
トナカイ、品よくするりとのりこんだ。

ふふふん。
サンタはいたずらっ子のように、告げたんだ。

「いいかい? 今年は飛行機からプレゼントを配るからね!」

ブルルン、ブルルン、レッツ・ゴー!

クリスマス・イブの静かな夜に
サンタとトナカイの乗った飛行機ゴー、ゴー
めざすは 夜空の どまんなか。

ブルルン、ブルルン ブルルルル・・・
そこは 夜空の どまんなか。
「さぁ、いいかい? よく見ておいで」

サンタは操縦桿の赤いボタンを押した。ゆっくりしっかり プッ・チッ。

飛行機のおなかのところが パカンとあいて
パラパラパラパラ パラパラパラパラ
色とりどりのプレゼントが
いろんな形のプレゼントが

えんとつめがけて
えんとつめがけて

ちらばっていく。

まどをめがけて
ドアをめがけて
くつしためがけて

ちらばってく、ちらばってく。

キラキラ ルラルラ すいこまれるように。

わぁぁ
とってもきれい!
こんな光景みたことないね。
そうさ、流れ星をふらせてるの、今日はぼくらだ!
すごいぞ、すごいぞ!

サンタとトナカイ もう うっとり。

「どうだい? 今年はあっという間におわったろ?」
サンタは得意げにウィンクひとつ。
トナカイも思わずつられてにっこり リリリンッ
リリリンッ リリリンッ
すんだ音色は夜空のどまんなかでこだまする。
リリリンッ、リリリンッ

「今年は夜はまだまだ ながい。一緒にすごそう。ゆったりね。」

ブルルン ルルルン
サンタは飛行機を着陸させた。
静かな静かな、満天の星に包まれた丘の上。

サンタはこっそり持っていた白いふくろから
つぎつぎつぎつぎ
いろんなものを取り出した。

ケーキ
ワイン
ローストチキン
木の実の詰め合わせ
キャンドル

まだ あるよ

クリスマスツリー
ストーブ、
テーブル、テーブルクロス
ナイフにフォークにスプーンに、グラス

まだあるよ

蓄音機
え?蓄音機まで???

そんなことはおかまいなしに
二人は飲んだり食べたり
歌ったり 踊ったり

誰もが過ごすようなクリスマスの夜だけど
実はサンタとトナカイにとって
はじめて過ごすクリスマス。

だって・・・
いつもは二人で力を合わせて
せっせ せっせと一晩中
せっせ せっせとひとつひとつ
プレゼントを配り続けるのだものね。

「ねぇ、トナカイ。
つぎはどんなクリスマスにしたい?」

あらら、もうつぎのお約束?

「そうねぇ。いっしょにすごせればなんでもいいな」

「考えておきなよ」
「うん、考えてみる」
「ほんとかなぁ?」

さぁさ、せっかくですから
このまま そおっと 楽しませてあげましょう。

サンタクロースにもクリスマスをね。
トナカイにもクリスマスをね。

きみにもきっと、素敵なクリスマス・・・だね。
どうぞどうぞ、お楽しみに。


©tukkin.2002.12.24
おはなしおはなし