天邪鬼(あまのじゃく)

文 つっきん



笑わないできいてください。
あたしは
「待って。」って言われると
進みたくなってばばばばばって走っちゃう。
「進んで。」って言われると
立ち止まりたくなって、野道でちょっとあそんでく。

ある日、どうして反対になるんだろうって思ったら
きゅうに手のひらがむずむずして、
ひらいてみたら、見たこともない鍵がある。
これはいったいどこの鍵?って思ったら
目の前にぼよんとドアがあらわれたのよ。

そこには小さな鬼がちんまりいてね、
「入るなよ。」って言うものだから
「入るわよ。」って入ったの。

ああ、こいつがあまのじゃく。
ひょこっと角が一本生えてて、
トラのパンツをはいている。
にくらしげな顔してるのに、かわいいな。

「お茶はいらないわ。」と言うと
「ほらよ。」っとにんまり笑って
あっつあっつのお茶いれて、私の前にとんとおく。
「あんたとあくしゅなんてしないわ。」と言えば
「ほらよ。」っとやっぱりにんまり
ごしごしっとトラのパンツで手を拭いて
ぬっと小さな手を差し出してくる。
にぎろうとすれば、ちょっと触れたあたりで引っこめる。
むむむっ。

「また来るわ。」と言うと
はじめてちょっと考えて
「好きにしな。」って恥ずかしそうに笑ったの。

あまのじゃくは天邪鬼。
だから
あんたもあたしも天の子供にまちがいない。

笑わないできいてください。
あたし、あまのじゃくを飼ってるの。

*おしまい*

(C)つっきん2005.10.21 


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