ふうちゃんと初日の出  
文 つっきん

ふうちゃんが目を覚ましたときは
もうすっかり朝でした。

さんさんとまぶしすぎる太陽に
ふうちゃん がっかり。

「見たかったのに!初日の出!」

ぐっすり眠っていたのだから、それはしかたがありません。

だけど 気持ちはおさまらない。
「ああくやしい、くやしい、もう!くやしい。」

まぶしすぎる太陽がうらめしくてうらめしくて。
ふうちゃんの目は きゅぅぅとつりあがってしまいます。

「いやね。せっかくのお正月なのに・・・」

おかあさんの言葉も耳にはいりません。

「ふうちゃん、ちゃんと太陽は出てるじゃないか。」

おとうさんのなぐさめも、ちっともなぐさめになりません。

そりゃあ、そうです。
ふうちゃんは 見たかったのは 初日の出。
元旦の朝、
まだひんやりとした空気の中を
じわりじわり地平線をあたためながら
太陽がゆっくりゆっくり顔を出す。

見たかったのはそれだから!
ないしょだけど
わぁ、すてきって目を輝かす練習までしてたんだから!

「あーあ、今年はついてない!」
ふうちゃんが、大きな声で言ったそのときです。


「ごめーんくーださーーい。」


「郵便屋さんかしら。ふうちゃん、ちょっとお願い。」


台所で忙しそうなお母さんに言われて
しぶしぶ玄関を開けてみると

なんと、そこには大きな赤い顔の太陽が。

「やあ。はじめまして。年賀状をどうぞ。」

びっくりふうちゃん
あんぐりあいた口をどうにかこうにか動かして

「たたた、たいよう?」

すると、太陽は はっはと照れくさそうに笑って言いました。
「いちど、年賀状の配達をやってみたくて。」

さらに、太陽は おかしそうにくっくと笑って言いました。
「郵便屋さんに かわってもらったんですよ。」

よぉくみると
白い雲の上・・・いつもの郵便屋さんが
背中に巨大な電池せおって
大きな大きなサーチライトをふたつ、
両手でえいやとかかげているじゃありませんか!
まぶしすぎるわけですよ。
まっかっかに赤いのは 郵便屋さんの顔だもの。

これにはふうちゃん 大笑い。
「みんなだまされたってわけ?」

太陽はまことに申し訳なさそうに、それでもにやりと言いました。
「そういうことに、なりますかね。
はやいとこ戻らないと、郵便屋さんがお気の毒。」

見れば、雲の上の郵便屋さんは
もう力の限界、ふらふらふらり、
光もあやしく よろよろよろり。

いけない、ふうちゃん だいじな言葉を忘れてた。
「ごくろうさま。あけましておめでとう!」

「あ、そうでした!あけましておめでとう!では よいお年を。」

それは、なんだかちがうんだけど・・・

ふうちゃん、すっかりごきげん
年賀状を手に玄関をいきおいよくパタンとしめて

「あけましておめでとう!」

おくればせながら お父さんお母さんに 言えたのでした。

今年もきっといい年ね。たぶん今までで一番ね。


ほら。ちゃーんと。
いつの間にか太陽は、
いつもどおり そしらぬ顔で輝いてるよ。

身代わりさせられた郵便屋さん、 
ほんとうに ごくろうさま。
今年もどうぞ よろしくね。



*おしまい*
©tukkin/Kiyoko Kishino2005.1.1


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