ちいちゃん と ひまわり

文 つっきん













あついあつい 夏のある日の昼さがり。

ちいちゃんが、赤いリボンのついた麦わら帽子をちょこんとかぶって おさんぽしていると
しょぼーーんとした ひまわりに あいました。

首がおれちゃったかと思うくらいぐんにゃりまげて、
花びら いちまい いちまい ごていねいに しょんぼりしています。

ちいちゃんが 見上げると、ひまわりの顔がましょうめんに
まるで ぶらさがっているように 見えました。

「どうしたの?」
ちいちゃんが親切にたずねると、

ひまわりは、小さな声で
「・・・聞いてくれますか?」と言ったので
ちいちゃんは、こっくりうなずいて、手を自分の耳にあて
じっとひまわりの声を まちました。

「わたくしは わたくしの おとうさんやおかあさんに あいたいのです。」

ちいちゃんは びっくりしました。

「ちいさなおじょうちゃん、わたくしのおとうさんやおかあさんをご存じありませんか?」

ちいちゃんは うでぐみをして うーんと考えました。
ひまわりの おとうさんやおかあさんを見たことがあったか
うーん、うーんと 考えました。

   ネクタイをしたひまわりって 咲いていたことあったかしら?
   エプロンをしたひまわりって 咲いていたことあったかしら?

そんなひまわり 見たことありません。

「はぁぁ。ご存じありませんよね?つかぬことをきいてごめんなさい。」

ちいちゃんは、おとうさんやおかあさんに あいたいというひまわりが
ちょっぴり 気の毒になりました。

空を見上げると、もくもくと力こぶいっぱいの入道雲があそんでいました。
ちいちゃんが 見ているのをしってかしらずか

もこっと ひとつの力こぶに力を入れると、
パチッと力こぶがはじけて、なかから小さな雲のふたばが芽をだしました。

「わかった!ひまわりさん、ちょっとまっていてね。」

ちいちゃんは、タタタタタッとおうちへかけもどると
                              「ちいちゃん、ただいまは?」
つくえのひきだしをパッとあけてパッとしめて
                              「あら、ちいちゃん、また外いくの?」

おおいそぎで ひまわりのところへもどりました。
息をはぁはぁはずませて
「ひ・ひまわりさん、これ!」

ひまわりは、ちいちゃんがぬっとさしだした ちいさなてのひらの中をのぞくと
もっともっとちいさな白と黒のシマシマもようのつぶがポチッとひとつ。

「これは いったい なんですか?」
ちいちゃんは、すぅっと大きく息をすいこんで 
「ひまわりのたね!つまり、ひまわりのおとうさんやおかあさん!」

「えええ?こんな ちっぽけなものが ですか?」
ひまわりは 信じられないという目をして言いました。

「だって、このたねをこうやって 土にうめるでしょ?」
ちいちゃんは、パパッと手でかるく穴をほって たねをうめてみせました。

「それからね、」

そう。
それから、とんでもないことがおこったのです。

ポコッとうめたばかりの地面がわれて
ピョコッとちいさな芽がでたかとおもうと、

   グングングングン
   のびてのびてのびて

空に向かってグングンのびて

   パパーーン

あっという間に大きなひまわりが咲いたのです。

空の入道雲もびっくりして
力こぶをポコポコさせるのもすっかり忘れてあんぐり見つめていました。

咲いたばかりのひまわりが ひまわりに言いました。

「あのぉ、どこか ぐあいでもわるいのですか?」

ひまわりは たじたじしてしまって、まぶしそうに首を横にふりました。

やがて、ひまわりは大きく深呼吸をするとちいちゃんにむかって
「ちいさな おじょうちゃん ありがとう。
あの ちいさなちいさな たねが わたくしのおとうさんやおかあさんなのですね。
あの ちいさなちいさな たねから わたくしは うまれたのですね。」

ちいちゃんは たしかにちいさなおじょうさんでしたが ものしりでした。
「ひまわりさん、今、ひまわりさんのお顔にはちいさなたねのあかちゃんが
いっぱいいっぱいあるんだよ。」

ひまわりは 目をまんまるくして言いました。
「まあ!わたくしは たねのあかちゃんのおかあさんでもあるんですか。
なんてこと。あかちゃんたちのために わたくし しょげてはいられませんわ!」

咲いたばかりのひまわりが にっこり笑って 言いました。
「では、一緒にせいいっぱい咲きましょう!」

ちいちゃんは、たしかにちいさなおじょうさんでしたが、とても気のきく子でした。
またまた タタタタタッとおうちにかけもどり
                        「ちいちゃん、おかえ・・・じゃないみたいね。」
                        「子供は外で元気にあそぶのがいちばんさ。」
ちいさな 赤いじょうろにお水をいれて
ひまわりに たっぷりかけて あげました。

しょんぼりしていたひまわりは たちまち元気になって
咲いたばかりのひまわりと なかよくならんでにっこりと

うれしそうに咲いていました。

空の入道雲はといいますと
ほっとひとつちいさな雲をはきだして、
また力こぶをポコポコさせては ちいさな雲の芽をださせては
お花を咲かせたりなんかして、すっかりあそびはじめておりました。

ちいちゃんは、すっかりごきげん気分でおうちに帰り、
「パパー、ママー、こんどこそ ただいまぁ!」
と 言いました。

*おしまい*

(C)tukkin,KiyokoKishino/2006.8.6

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