ピヨッとひよどり
文 つっきん

ピヨッとひよどり鳴きました。

空を見あげて言いました。

なんてきれいな青だろう!
さわやかな青空を胸いっぱいにすいこんで

ピヨッとひよどり鳴きました。
うれしいなったら うれしいな。



ピヨッとひよどり鳴きました。

空の青さにうかれていたら
なにやら
頭にコツンと落ちてきて
びっくり ピヨッと鳴きました。

とおりすがりのカラスの仕業。
どんぐりひとつ、ニヤリとわざと落としたさ。



ピヨッとひよどり鳴きました。

いったい何が落ちてきたのかと
地面に舞いおりてみようとしたら

ああ、あとほんのちょっとだったのに!

舞いおりた場所は、まさに あのどんぐりの上。

どんぐりの上で ひよどりころころ。
どんぐり止まって、さぁ大変。
どすんと転んで おでこにプクンとたんこぶひとつ。

見ていたカラスはお腹をかかえて大笑い。
おれ様のイタズラ大成功!


ピヨッとひよどり鳴きました。

あんまり腹が立ったので
カラスめがけて
どんぐりえいやと蹴り飛ばしたら

あれよあれよと飛んでって


のんびり向こうからやってきた
牛の鼻のあなめがけて飛んでって
ああ、悲しいかな。

ひよどりの願いむなしく
それはみごとに すぽっと 牛の鼻のあな。

はーーーっくっしゅん!モーーーーー!だーれーだーー!!!

牛の大きなくしゃみといななきに

あわてて逃げ出すひよどり、カラス、そして鼻から飛びでたどんぐり

ところが
逃げおおせたのは カラスだけ。
どんぐりの運命いざしらず。どこまで飛んでいったやら。

ひよどりは
まったくついていない ひよどりは
あっけなく 牛につかまってしまったさ。



ピヨッとひよどり鳴きました。

もはやこれまで。残念無念。

だけどだけど、たやすく食べられてなんてなるものかぁぁぁ!


ピヨッピヨッピヨッピヨッピヨッ

声をかぎりに叫ぶ、蹴る!
牛の舌をつつく、蹴る!

モーーーーー!うるさい!もう かなわん!
こんなやつをペロッとひとのみしたならば、
腹の中でも騒いでしまうにちがいない!
かなわんかなわん、もうかなわん!

ポイッ。

ひよどり よろよろ
どうやらやっとこ命からがら助かった。
命からがら 力がでない。
よろよろ よろよろ よろめくばかり。



ピヨッとひよどり鳴きました。

ほっとしたやら
悲しいやら
くやしいやら

ほっとしたやら
悲しいやら
くやしいやら

自分の小さなあんよを見つめ
ふるえているあんよを見つめ
ピヨッと小さく鳴きました。


おいらの心にあなぼこが
まっくろけのあなぼこが
ぽかっと口をあけている。

見あげれば
木漏れ日の中から おひさまの光がゆらゆらキラキラ。


ぽかっとあいてるあなぼこめがけて あなぼこめがけて
ゆらゆら キラキラ ふるふる ゆらゆら


ピヨッとひよどり鳴きました。

おいらすっかり忘れていたよ。
さっきまで 空の青を胸いっぱいに すいこんで
空の青さを くちずさんでいた おいらのことを!
空の青さに うきうきしていた おいらのことを!


ピヨッとひよどり鳴きました。

やっぱりこの世はすばらしい!
とくに 空の青さがね!

ピヨッピヨッピヨッ、ピヨッピヨッピヨッ


カーァ カーァ カーァ

おやおや。
空はすっかりあかね色。



ピヨッとひよどり鳴きました。

ちっ。
カラスが鳴くから 帰るとするか。
思うに
あの憎たらしいくちばしを、ひもでぐるぐる巻きにしてやりたい!
ちらっと
そしらぬ顔のカラスを見あげ


もいちど
ピヨッとひよどり鳴きました。


*おしまい*
©tukkin 2004.11


BGM*ひつじ雲の想い*

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