ひよこちゃん  
文 つっきん


゜*.★・*.゜☆かわいい おはなし あなたに ひとつ。゜*.★・*.゜☆


たまごがひとつありました。
ころんと はやしの みちの うえ。  
たまごのなかには ひよこちゃん。

コンコン からを つつきます。
たまごの そとへ でるために
ツンツン コンコン つつきます。


ツン!
くちばしが ぴょっこりでてきて
ちいさな あなが あきました。


あなから のぞいて みえたのは
あおい あおい そら でした。

なんてきれいな いろだろう!

ひよこちゃんは もうちょっと あなを おおきく してみました。

ぎょっ!


むこうから ひよこちゃんを のぞく めが ひとつ。
ぎょろりと それは ひよこちゃんを なめるよう。

こわい こわい ブルブルブル。

めだまのぬしは カラスのカースケ。
なぁんだ、ひかるビーだまじゃないのかと
バサッとつばさをひろげて とんでってしまいました。

そんなこととは しらない ひよこちゃん。
ああ こわい、ああ こわい と ブルブル ふるえておりました。 


それでも もいちど そとをみようと いちだいけっしん ひよこちゃん。

ところが。
とつぜん フォーーーン と おとがして
ひよこちゃんの からだが きゅぅんとちぢまりました。

おとのぬしは かけぬけた かぜ。
そんなこととは しらない ひよこちゃん。

こわい こわい おそとは こわい。
たまごの なかに いるほうが いったいぜんたい あんしんだ!


でもね、
「こわいものみたさ」っていうのかな。
ひよこちゃんは またまた そとを のぞいてみました。

もうすこし あなをあけてみようかな と 
コンコン からも つついて みました。

ブッブーーーーッ、ブホブホンッ

じめんが グラグラ ゆれてきて
どうしよう、どうしよう!
たまごの なかで おおあわての ひよこちゃん。

じめんが ゆれただけでは ありません。

プーーーーーン

くさい、くさーい。
いきが うっ と つまるような きょうれつな におい。


ひよこは もう いいや と おもいました。
おそとになんて でなくて いい。

ひよこちゃんは ポツンと なみだ しました。
めから なみだが こぼれて こぼれて …いたはずなのですが

ポツ ポツ ポツ
あたまの うえから ポツポツ なみだが ふってきて
いつのまにやら びしょぬれで
なにが なんだか わからなく なりました。


よる … ひよこちゃんは そぉっと ねむりに つきました。
お月さまとお星さまはしずかにしずかにしていてくれました。


おひさまが めを さましました。
おひさまは だれにでも 「おはよう。」と いいます。

「おはよう、たまごの なかの ひよこちゃん。
おやおや ぐっすり ねむって いるね。」

ひよこちゃんの めが ゆっくりと さめました。
あなから さしこむ きんいろの ひかりが あたたかくて。


そのときです。

ペキ ペキ ペキッ

あろうことか、からが まっぷたつに ペキッとわれて
ひよこちゃんのからだは とつぜん そとに でてしまったのです。


わぁ!
ひよこちゃんは そらを みました。
        くもを みました。
そして    とりが みえました。
        くさが みえて、みちが みえました。

おひさまは まぶしすぎました。

「こんにちは。」


ひよこちゃんの あしもとで こえが しました。
みると ちいさな ひかるミミズでした。

「こんにちは。」
「いっしょに あそぼう。」
「うん いいよ。」

たまごの からで あそびます。
だって そこに たまごの からが あるからね。

それぞれ なかに のって ゆぅらゆぅら ゆらりんこ。
あたまに のせて おとしちゃ だめよ おいかけっこ。


「ああ たのしかったね。おなかすいちゃった。」
「うん。たのしかったね ひよこちゃん。」

じーーーーーーーっ。

         「なに? ひよこちゃん。」

「おいしそうだね。」

         「え?」

パックン。

ひよこちゃん ひかるミミズを ペロリとたべて

「ごちそうさま。おいしかった!」


ひよこちゃんは みちを トコトコ あるきました。
だって そこに みちが あるからね。

すると うしろから

ブッブーーーーッ、ブホブホンッ

と おとが ちかづいて きました。

みると それは ほしくさを いっぱい のせた トラックでした。

なぁんだ、あの おとのしょうたいは トラックか。
くさい においは トラックのおしりからでている はいきガス。

「よぉ、ひよこちゃん。どこへ いくんだい?」
まっくろに ひやけした おじさんが うんてんせきから かおを だしました。

「ちょっと そこまで。」
「なんなら のせてあげようか?」
「ありがとう!」

ひよこちゃんは やわらかな ほしくさの うえに のせてもらって
ごきげんに ドライブを たのしみました。

そのときです。


くろい かげが そらから ヒュルヒュルとまいおりてきました。
ギョロリと そのめが うごきます。

なぁんだ、あのめは カラスのカースケだったのか。

「おまえ、すごいな。ひよこのくせに ドライブなんて。」
「そぉ? きみも どう?」
「それより おまえ、うまそうだな。」

カースケが ゴクリと つばをのみこみます。

「ダメダメ。ひかるミミズのほうが おいしいよ。さがしてごらん。」
「ひかるミミズか。うまそうだな。おまえ、すごいな。ものしりだ。」

カァァ、つばさをバサッとひろげて カラスのカースケはとんでいってしまいました。

ああ、よかった。


ひよこちゃんは トラックのうえで かぜとも あそびました。
かぜが ほしくさを なでると、
カラカラ、とか サワサワ、とか きもちのいい おとがします。
ひよこちゃんは たまごのなかにいるときにきいた
「フォーン」という おとのことを きいてみました。
かぜは サヤサヤ わらって 「あれは ぼくだよ。」とおしえてくれました。

たまごに あいた あなを フゥゥとふくと
ふえのように なるんだって。


ひよこちゃんが まったりしていると
ヒラヒラ ちょうちょが とんできました。

「こんにちは。」
「こんにちは、ひよこちゃん。」
「きみは、だあれ?」
「わたしは アゲハ。アゲハちょう。」

ひよこちゃんは うっとりしました。
「きみは、とってもきれいだね。とってもすてきだ。」
「まぁ、ありがとう。」
アゲハは クスクスわらいました。

「どこへいくの? アゲハさん。」
「おいしい はなの みつのあるところ。」
「へぇぇ。いっしょに いってみようかな。」
「どうぞ、どうぞ、おきにめすまま。」

ひよこちゃんは トラックからおりて
アゲハのあとを トコトコついていきました。
ヒラヒラ トコトコ
ヒラヒラ トコトコ

「まって、まってぇ。」


「おいしい みつのあるところにも ひかるミミズはいるかしら。」

いってらっしゃい、ひよこちゃん。


*おしまい*
©tukkin/Kiyoko Kishino2005.9.20


*

おはなしTOPへ

つっきんの童話屋さん
゜*.★・*.゜☆