紙飛行機
文 つっきん

紙飛行機が落ちていました。
だぁれも通らないような
あおい草のトンネルのような
ひとひとりが やっと通れるようなじゃり道に。

紙飛行機は だれのじゃまにもならないように
道のかたすみのかたすみに そっと 白いつばさを休めていました。


わたしは ただ 近道をしようと思って、そこをたまたま通ったのでした。

わたしは 思わず紙飛行機を 拾い上げました。

「誰か忘れていったのかな?」
と ひとりごとを言いますと
「よっくんがね。」
と、紙飛行機が小さく答えました。

「よっくん、飛ばしっぱなしで帰っちゃったのかな?」
「そうだよ。」

そして、紙飛行機は話してくれました。

よっくんは、まだ1年生の男の子だってこと。
ママと二人で住んでいて、いつもお留守番ばかりしてること。
とっても元気で笑顔のかわいい男の子だってこと!
虫取りは好きだけど、トカゲだけはきらいだってことも。

「ぼくを広げてみて。」
紙飛行機が言いますので、そっと広げてみましたら
たどたどしい えんぴつの字で「ママのバカ」と書いてありました。
ぽつんと ちいさな しみがありました。

「さびしかったんだね、よっくん。」
「そうさ。だからこうして ぼくにして飛ばしたのさ。」
「ほんとうは ママのこと、大好きなんだね。」


わたしは紙飛行機がかわいそうになってきました。
よっくんもかわいそうになってきました。


紙飛行機が よっくんの思いを守ってる。
飛ばして消したつもりの思いを乗せたまま。

「つらかったね。」
わたしは 紙飛行機に言いました。

紙飛行機から ぽつんと ちいさな涙落ちました。
あの しみから ぽつんと 落ちたちいさな涙。
わたしの手の中で ゆらんとゆれて 地面にするっと落ちていきました。


ああ、そうか。


「もう一回飛ぼうよ。」

わたしは、紙飛行機をうーーーんと
おひさまに向かって飛ばしました。
それから・・・

紙飛行機が落ちた場所へかけっていって

そこに咲いていたおしろい花の種をひとつもらって
紙飛行機を 地面にうめました。

「いっしょにきれいな花を咲かせてね。」
紙飛行機は しずかに うなずきました。
おひさまが見守る中、大地のおふとんにくるまるように。


うずめてしまったのではないのです。
こぼれた思いは 大地にお返し。
できるかぎりの祈りをこめて。



紙飛行機は 飛んでいます。
青い空は わたしの心のなかに あなたの心の中に ありますからね。



・・・・・・・・一年後のあの場所・・・・・・・・・・・


咲いています。
白とピンクの入り交じった珍しいおしろい花。
種ができて、種がこぼれて、たくさんたくさん咲き続けますように。


*おしまい*
©tukkin 2004.9

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