のらと くらの 湖上散歩

  文 つっきん
  絵 タッピー
のらは こぎつね。 ココン と こぎつね。
くらは こぐま。 もそっ と こぐま。

ふたりはなかよし。ともだちだ。
「おはよう。きょうは 湖へ 行ってみようよ。」

森を抜けた 湖に ひっそり浮かぶ カヌーを見つけた。
なんて、すてきな 大発見。
「のろうよ、のろう。」
ふたりは おおよろこび。
「これさえあれば どこへだっていけるさ。」
「そう、地球の果て、宇宙の果てまでも。」

のらとくらは 乗ってみた。
ゆらん と カヌーは揺れている。
ゆらん と カヌーは浮いている。

「さぁ、行こう!」

オールを手に取り、いざ、出発。
すすーる、ギッギッ すすーる ギッギッ
すすむ、すすむ。 おもしろいほど すすんでく!

「風も」
「鳥も」
「木も」
「雲も」
「水も」
「みんな僕らの友だちだーーー。」

ところが
あんまり一生懸命こいでいるうちに

風もやみ
鳥の姿もどこにもない。
岸も見えない
雲もない
太陽だけが、ぎらぎら 照りつけ・・・

湖のど真ん中。
ぽつんと 二人のカヌーだけ・・・

腕がしびれた・・・
なんだか つかれた・・・
ふたりは ごろんと ねそべった。

きゅ〜、きゅるるる

「あ〜、おなかがすいた。」
のらは ぎくっとした。食べ物の用意なんて してないぞ。
それに・・・
のらは くらがくまだということを 今の今まで忘れてた。

「おい。」
くらが 急にひくいこえで 言った。
「おなかがすいたから、おまえをたべちゃうぞ。」

「ちょちょ、ちょっと待ってよ。ぼくたち、ともだちだろ?」
「ふん、そうだったっけ?」

くらは のらに がぶりっと おそいかかった。

がちっ!!

くらは のらが きつねだということを 今の今まで忘れてた。

のらは とっさに 石になり、
石は さすがの くらも 食べられない。
「いてててて・・・」
「やぁい、ざまぁみろ!」

だけど、きゅうに 2人が暴れたので
カヌーが おおきく ゆっらーーんとゆれて

ばっしゃーーーーん!・・・・てんぷく・・・・ぷく、ぷく、ぷく・・・

ふたりを 投げ飛ばしたカヌーは、ゆらり ゆらりと ゆれていた。
しずかにしずかに うかんでた。

ひょぉぉぉぉおおお

水の中は ひんやりつめたくて
大きな物音にびっくりした魚たちが
そろり、そろりと よってきた。

のらと くらは すっかり楽しくなっちゃって
魚たちといっしょに およいでみたよ。

たららん、たららん、ゆかい。ゆかい。
たららん、たららん、ぼこぼこぼこ。

ぶっはーーーぁ。

「はぁぁ、およぐって きもちいいね。」
あはははは。

あれ?
あれ?
あれれれ?

のらと くらは かおを みあわせた。
だって、ふたりは 手に 手に
魚を1匹ずつ にぎって もとの 岸辺に立っている・・・

「おいしそうだねーーー。」
にぃーっ
のらと くらの かおが にぃーっと よこに ひろがった。

くちを ぱくぱくさせてた 魚が言った。

「しかたがないなぁ。君たちの友情への おいわいだ。
どうぞ ぼくらを 食べてくれ。
ただし、おいしくたべてくれなきゃ やだよ。」

ふたりは 岸へ駆け上がり
のらが 枯れ枝を あつめてまわる。
くらが枯れ枝を こすりあわせて 火をおこす。

パチパチ パチパチ

オレンジ色にキラキラ光る 炎の中に
魚を入れる。
魚は、目を閉じて、なにか 祈っているようだ
のらと、くらも しずかに しずかに お祈りした。

「いいにおい〜。」
においにつられて 森の仲間たちも よってきた。

みんなで、お昼ご飯にしよう。
今日は まったく いい天気。

あれ? カヌーはどこへ行ったかな?

©tukkin2001.3
For Mr.&Mrs.OHTOMO
Special Thanks Tappy

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