戻る細胞くん3
文つっきん 

バリッと 天が裂けた。

細胞くんに 真昼の出来事。

みゃくみゃくと 一定に流れていた 川が
はげしくうねり、裂けた天に向かって ふきでてく。

仲間がそう、のみこまれたまま・・・

「なんてことだ」
細胞くんの いきがつまる。

裂け目からの侵入者、バイキンと
白い戦士 白血球のたたかいも
ただ、じっと みつめているほかないから。
あぁ、いきが つまる。

「なんてことだ」
傷ついて 倒れゆく 流されて、消えていく・・・
細胞くんは ただ じっとみつめている。
ときどき からだをふるわせて。

やがて・・・あたりは しーーんとして
何事も なかったように
みゃくみゃくと ながれはじめる。

「なんてことだ」
このすがすがしさは・・・

あれ?
気がつけば、細胞くんも 体が一部 欠けていた。
どうりで からだが ふるえたわけだ。ビリビリっとね。

傷つけば
そのぶん 体が強くなる。
ちょいと いたいけど たまには いいさ。
傷は 時々痛むだろうけど、それは 大事なことだろな。

細胞くんは あわてない。 さわがない。
細胞くんは わきまえている。
そのへん、ちゃーんと わきまえている。

「おぉぉぉお、痛かった。ちょっと指を切っちゃったよ。
血、止まったからだいじょうぶだねっ。」

ふうちゃん、右手の人差し指にちょっと 口づけた。

ひゃ、くすぐったい。
えへへへへ。
細胞くんは 愛を感じたのさ。
小さいようで、偉大な 愛を。

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