桜貝
文 つっきん

ななちゃんが 見せてくれた桜貝。

ふわぁぁっと優しい桜色しとる。
ななちゃんみたいな優しい桜色しとる。

ほしいなぁ。

でも、どうすればいいのかわからなくて
ちょっぴり さみしくなったんよ。
ななちゃんが うらやましくて たまらんかったんよ。

ええなぁ。
わたしも ほしいなぁ。

そしたらな、

朝のことやった。

うちの台所の小さい磨り硝子から
橙色の朝陽が射し込んできて
思わず ふっと手をかざしたとたん
橙色の光は
わたしの手のひらを 何食わぬ顔で すりぬけて

わたしの指先がほんのり桜色にうきあがったん。
まるで桜貝みたいによ。

うれしかった。

うれしかったんよ。

わたしの欲しかったものは
わたしの手の中にちゃんとあったけん。

わたしはわたしを ほんまうれしい、
そう おもったんよ。

ななちゃんにも 教えてあげよ。
このこと こっそり 教えてあげよ。


*おしまい*
©tukkin 2004.1


BGM*オレンジの波*

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