おっかな びっくり ばこ ドン
文 つっきん

びっくりばこが ひとつ
なまえは 『おっかな びっくり ばこ ドン』
おもちゃやの 主人が つけた あだな さ。
だって、すごく こわがりだもの。

「こわい! にゃぁ って へんな こえがする・・・」といっては ぶーるぶる。
「こわい! だれかの あしおとがきこえる・・・」といっては ぶーるぶる。
だれかが 『おっかな びっくり ばこ ドン』を もちあげようものなら
「・・・・・・・!!」
てつの はこみたいに カチン コチン。

「まったくなぁ、びっくりばこのくせに。」
と おもちゃやの 主人が ぼやくたび
「だって だって こわいんだもの。このまま ここに いさせてよぉ。」
「はははっ いまどき びっくりばこなんて うれないさ。」

 ところが どっこい うれちゃった。
ひょっこり やってきた
まあくんと おかあさんが 
『おっかな びっくり ばこ ドン』を みつけてね、

「あらぁ、びっくりばこなんて いまどき あるのねぇ」
「びっくりばこ?」
「なかから、びよ〜んと しかけがとびだして、みんなをびっくりさせるの。」
「へぇぇ。こわいの?」
「そんなぁ、たいしたことないわよ、びっくりばこなんて。」
「しかけって なぁに?」
「さぁ?おばけか とりか、そんなとこかな?」

「いえいえ、こいつは ちがうんですよ・・・」
と おもちゃやの主人。
「『おっかな びっくり ばこ ドン』といってね、なかなか きょうれつです。
いまどき、なかなか ここまですごいのは ないですよ。」
 なんて いうものだから まあくんも おかあさんも すっかりほしくなって
「じゃ、これ ください。」

『おっかな びっくり ばこ ドン』は こわくて こわくて ぶーるぶる。
「こわいよ、こわいよ、こわいよ〜」
 おもちゃやの主人は、おおきな かみぶくろに いれながら
「もう、でるしか ないのさ。おもいきって とびだせよ。」
と、こっそり つぶやき
「まいど あり〜!」

こわい、こわい、こわい、こわい、こわい、こわい、 ふう・・・
コワイ、コワイ、コワイ、コワイ、コワイ、コワイ、フー・・・
ドキン ドキン、ドキン・・・ドキドキドキドキドキドキ・・・

 そのよる まあくんおやこは、みんなを うちへごしょうたい。
ごきんじょさんも、おともだちも かいいぬや かいねこ
みんな みんな ごしょうたい。
「あけるよ〜。いち にい、のー・・・」

こわい、こわい、こわい、こわい、こわい、こわい、 ふう・・・
コワイ、コワイ、コワイ、コワイ、コワイ、コワイ、フー・・・
ドキン ドキン、ドキン・・・ドキドキドキドキドキドキ・・・

『おっかな びっくり ばこ ドン』は
こわくて こわくて からだがどんどん ちぢんでいく・・・
こわい、こわい、こわい・・・けど・・・

「さーん!」

ビ、ユーン!

ピタッっと 時が とまった。
なにも きこえない・・・

『おっかな びっくり ばこ ドン』は みた。
まんてんの ほしぞらを めのまえに、
まんまるな みんなの めを はるか したに・・・
かくれて みていた おもちゃやの 主人も みーつけた。
そして、そして・・・たくさん たくさん みたんだよ。

「うわぁ!!!」

みんなの おおきなかんせいにびっくりして
『おっかな びっくり ばこ ドン』は
ひゅーんと はこへもどり、ぴたっと じぶんで ふたを しめた。 きっちりとね。

ドキン ドキン、ドキン・・・ドキドキドキドキドキドキ・・・
あー、こわかった・・・でも、ちょっぴりおもしろかった。だけど、やっぱり こわい こわい。

『おっかな びっくり ばこ ドン』は、やっぱり こわがりな びっくりばこ。

でもね・・・『おっかな びっくり ばこ ドン』ったら、
そおっと はこのふたをもちあげて
こっそり みんなの びっくりしたかおを のぞいて みてたんだって。ふふふふふ。

©tukkin2000.10

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