時計 テコテコ
           文 つっきん         

チックタック チックタック チチックタック チックタック

 ゆきは 壁掛け時計を チラッと 見る。
今、絵本を 読んでいるところ。

チックタック チックタック チチックタック チックタック

 ゆきは もういちど 壁掛け時計を 見る。
いつもの場所に 時計はちゃんと ある。

チックタック チックタック チチックタック チックタック

 じぃーっと 見る。
 あれ?

チックタック チックタック チチックタック チックタック
 あれれ〜?

 時計の『1』が ない!
「ひゃぁ お母さーん! 時計の『1』が ないよー。」

 ゆきの 声に お母さん 台所からパタパタ やってきた。
「どれどれ? あらま。 どういうこと?」

 時計の『1』がないってことは、
 1時間が 5分少なくなる。
 1時が来ない。
 1時が来ないということは 1日が 22時間になる。
 …だってさ、昼の1時と 夜の1時が あるもんね。

「大変だー」 
 2人は バタバタ 『1』を 探す。
 テレビの下。 いないよ。
 引出しの中。 いないね。
 食器の陰。  いない。
 エプロンのポケット。 入ってない。
 押入れの布団。 ここにもいない。
 
 バタバタ バタバタ
 どこにも  いない!

「しーっ」
 お母さんが くっと 息を潜めた。
 ゆきも そっと 耳を澄ませた。

テコテコ テコテコ
 小さな 足音。

テコテコ テコテコ
 ベランダの方から。

 2人が そぉっと ベランダを 見てみると、
『1』が いた。

 ぷぅーっと シャボン玉をふくらませては
テコテコ テコテコ 追いかける。

 ぷぅー
テコテコ 

 ぷぷぅー
テコテコ

「『1』 見ーつけた。ねぇねぇ あとで ちゃんと お帰りよ。」
 ゆきが ちっちゃく 声をかけると 
『1』は コテッと 転んじゃった。

 よかった よかった 見つかって。

チックタック チックタック チックタック チックタック…

 ゆきは ちらっと 壁掛け時計を見る。
いるいる。ちゃんと『1』が いる。

「お母さーん、『1』戻ったよぉ」
「よかったねー。」
 台所の方から 忙しそうな声だけ した。

「さて、宿題 やーろう。」
 

©tukkin 2000.6

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