お月様は郵便屋さん
文 つっきん

 おやおや。
さやちゃんはぐっすりねむっているようです。
さやちゃんのかいたてがみで、
わたしたちは しりあいになりました。
わたしは月です。
ゆうびんはいたつをしています。

いっしゅうかんまえのこと。
さやちゃんが ママとようちえんへ
いこうとしたら、
「ない!じてんしゃが ない!」
ママのじてんしゃがきえていたのです。
「だれかが かってに のっていったんだ」
いくらまっても
もどってきません。
どこをさがしても
みつからない。
「どこかで さむくて ふるえてるよ。
こわくて ないてるよ」
しんぱいはどんどんふくらんで
だんだん さやちゃんも かなしくなってきました。

 こまった さやちゃんは
てがみをかくことにしました。
「じてんしゃさま
おげんきですか
どこにいるの
なにしているの
このまえ けっとばして
ごめんなさい
ままもしんぱいしているの
おへんじください
           さやこより」
 てがみをふうとうにいれて
さやちゃんは またまたこまったかおになりました。
そして、ふううっ とためいきをつきました。
 わたしは ずっとみていました。

 ふっと いいことをおもいつきました。
「てがみ、わたしがとどけてあげる。」
「おつきさまが?
じてんしゃのじゅうしょ しっているの?」
「だいじょうぶ。
だれか きっとしってるから。」
「でも、きってが ないの。」
「んー、じゃ、あなたのだいすきな
こんぺいとうを ひとつくださいな。」

 つきのひかりは 
なにもかもおみとおし。
さやちゃんのままのじてんしゃが
どこにいるのか
ほんとうは ちゃんとしっていました。

 あのひ、
かわらにほうりだされた
かわいそうな じてんしゃは
ほしのかぞくに
そらへと
ひっぱりあげられていたのです!

 わたしは さやちゃんのてがみを
じてんしゃにとどけました
 じてんしゃはとてもよろこんで
へんじをかいてくれたので
こんどは さやちゃんのいえの
ゆうびんうけに とどけたのです。

「さやちゃん
おてがみ ありがとう
うれしかったよ
ぼくは いま
ほしのこどもたちをのせて、
あそんでいます。
ときどきそらをみてください。
ながれぼし、ぼくかもしれない。
では、おげんきで。
        じてんしゃより」

てがみをよんで
さやちゃんは にっこにこに
なりました。

 わたしも ゆうびんやさんになろうと
きめました。
 どこにだしたらよいか わからないてがみ、
つきよのばんに 
あなたのうちのまどべに
おいてください。
きってのかわりに こんぺいとう。
あの あまいあじが たまらない。

 おやおや。
さやちゃん、にこにこしながら
ぐっすりです。
 

©tukkin1999

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