すずめの涙
文 つっきん

すずめの涙ってどんなだろう?


そんな ギモンがとつぜんに、
ふうちゃんの心にやってきた。

すずめの涙 みてみたい。
みてみたいったら みてみたい。

ちっちゃな すずめの ちっちゃな目から
ちっちゃな ちっちゃな 涙のしずく・・・。

すずめの涙 みてみたい。


そうだ! ワナをしかけよう!


「おかあさーん、ざる かして!」
「まぁ、何に使うの?」
「いいから、いいから。」

「おかあさーん、お米ちょうだい!すこぉしでいいから。」
「あら、いったいどうするの?」
「いいから、いいから。」
「残りごはんでいいのかな?」
「ううん、そのまんまのお米。だってすずめのエサだもん。」
「あらあら、すずめの エサなのね?」
「いいから、いいから。」
「はい、お米。 ざるはちゃんと 返してね。」
「わかってるよぅ。いってきまーす!」

おっとっと。まだ いってきまーす! じゃなかったよ。
それから それから
毛糸玉から 毛糸を はいしゃく。
えっと・・・長さは・・・
ふうちゃんは
立ったまんま つまさきで毛糸のはじっこをふんでおさえて
すこしずーつ すこしずーつ のばしていって
じぶんの背より 高いところ
うでをピーーンとのばしたところ

よし!

そこで毛糸をハサミでちょっきん。
はじっこは、ざるのふちに じょうずにむすぶ。
これで オッケー、じゅんび オッケー。

「こんどは ほんとに いってきまーす!」
「どこいくのー?」
「いいから、いいから。うらのはたけー!」

たたたっとふうちゃん うらのはたけにしのびこむ。
土のにおいの むわんとした感じがたまらない。
大きくなってきたナスやトマトの苗を傷つけないように、
地面にパラパラお米をまいて、
お米にざるをかぶせてみて、毛糸でざるをひっぱっりおこし、
手をはなしたら、ざるがおなじところにちゃーんとかぶさるかを しっかり かくにん。
それから、毛糸をすこしずーつ のばしてー のばして
ナスやトマトの苗のすきまにじっとひそんで じっと待つ。


すずめ、はやくこないかなぁ・・・


こないかなぁ・・・


お米があるよぉ・・・


はやく きてよぉ・・・


まだかなぁ・・・

すずめ・・・



あ!きた!


すずめが2わ。
あたりを見まわし、そぉぅっとまいおり、お米をツンツン。


今だ!

ふうちゃん、もってた毛糸をはなし、
ざるが、パタリとたおれかけたそのしゅんかん!


パタパタパタッ

あ〜あ・・・にげちゃった。

2わのすずめはパタパタパタッとにげてった。

だめかぁ・・・。
これじゃ、いつになったらすずめをつかまえられるやら わからない。


そうだ!
それじゃ泣いてるすずめを さがしにいこう!
けがしたすずめとか、まいごのすずめとか

そしたら、すずめの涙が見れちゃうな。


泣いてるすずめ 泣いてるすずめ
どこかに泣いてるすずめは いませんか?
泣いてるすずめ 泣いてるすずめ
けがして泣いてるすずめは いませんか?
まいごで泣いてるすずめは いませんか?

ちっちゃな声でうたいながら
ふうちゃん、あっちへ こっちへ うろうろ きょろきょろ。

電線にいるすずめを見上げてみたり、
木の下にすずめがおっこちていないか さがしてみたり
塀に止まっているすずめに そぉっと ちかづいてみたり

泣いてるすずめは どこにも いない。

・・・ちかづこうとすると パタパタパタッと逃げられるだけ。


はぁ〜ぁ。
ふうちゃん がっかり。ほんとに がっかり。
泣いてるすずめなんて かんたんに みつかりっこないんだなぁ。



ふうちゃん しょんぼり 川原の土手で ためいき ひとつ。

もうすっかり夕焼けで
もうおなかもすいてきて

だけど 足もいたくって
歩く元気も なくなって

じんわり すわる草のうえ。

となりに だれかがいる気配・・・。

気配がする方へ 目をやると


すずめが一羽、そこに いる。
ふうちゃんみたいに ただ じっと。


ふうちゃん、思い切ってきいてみた。
「なにしているの?」

すずめはこたえた
「ちゅんっと ぼんやりしてるだけ。きみは?」

「えっとね、すずめさんをさがしていたの。」

「なんで?」

「すずめの涙、って見たいなぁと思ったから。」

「ちゅちゅん、へんな子。それで見つからなかったわけだ。」

「うん。すずめさんには 会えたけど。」

「ちゅちゅちゅん、それなら ぼくを 泣かせてみたら?」

それもそうだと思ったふうちゃん いっしょうけんめい 考えた。
頭のなかを あれやこれやがくるくる回転してると思うくらい 考えた。

すずめさんを泣かせる方法
すずめさんを泣かせる方法

いじわるいうのは どうだろう?
「すずめさんの ばーか。」とか。

それとも羽をぎゅっとつねってみようかな?


そぉっとざるにとじこめようかな?


だめだめ、どれも 泣くかもしれないけれど、かわいそう。

そんな 涙はみたくない!
そんなことは したくない!


ふうちゃん そぉっと いいました。

言おうとしたら 涙が目にうんとたまってきましたけれど いいました。

「おともだちに なろうよ。」


夕陽がほんとにやさしくて
夕陽がほんとにしみてきて


すずめの目から 涙が ポタリ。

「あ!涙。すずめさんの目から 涙!」

思ったとおりのちっちゃなちっちゃなすずめの涙は
思ったよりずっとずっときらめいていたんだよ。
だって
涙の中にオレンジ色の夕陽がとじこめられていたんだもん。



「きみが あんまりすてきなことを いうからさ。」

エヘヘ
ふうちゃん うれしくなって もういちど いってみたよ。


「おともだちに なろうね。」

「ちゅんちゅん、とっても うれしいや。」

「また あそぼうね。」

「ちゅんちゅん、きっと。また あした。」

「バイバーイ。」



ほんわりうれしい帰り道
ポケットの中に お米があるのに気がついて
「さっき あげればよかったなぁ。 あしたあえたら あげよかな。」

スキップ スキップ

はぁやく あしたに なぁれ。


*おしまい*
©tukkin 2004.7

おはなしTOPへ

つっきんの童話屋さん
゜*.★・*.゜☆