ぼくのたからもの

文 つっきん

1年2組の今日のしゅくだい。
「みんなの<たからもの>をもってきてください。
じゅんばんに みんなに はっぴょうしてもらいます。」


ぼくはドキンとした。
ぼくの<たからもの>ってなんだ?
ぼくのあたまのなかは 今日いちにち<たからもの>で まんぱいだった。
せいかくには 家に帰りつくまでまんぱいで、
玄関をあけて ランドセルをほうりだすと
「ただいま!」 じゃなくて
「たからもの!」が さきにでた。

たからもの、たからもの・・・たからもの!
ぼくの<たからもの>って なんだ?

おはなしに出てくるような
たからの山とか、そんなのもってないんだよな。
あるのは・・・
宝石じゃなくて 川でひろった石ころ。
これもけっこう気に入ってるんだけど<たからもの>ってわけじゃない。

・・・
ああ。ぼくが海賊だったら。

大海原を海賊船でかけめぐり
船は金銀財宝でざっくざく。
それなら はなしは はやいけど。

ありえない、ありえない。

・・・
たからもの、たからもの・・・たからもの!
そうだ!ぼくの金メダル!

保育園の運動会でもらった金メダル。
こいつは、金色でかたくってりっぱなものだ。

そうだ、リレーのアンカーだったから、ぼく2周も走ったんだー。
それで ぼくが テープを切った。ほしぐみの かち!
そのとき、えんちょうせんせいが みんなにくれたんだ。
・・・みんなに?

・・・だめだ。こいつは<たからもの>じゃない。
だって、みんなもっているんだもん。

はぁぁ・・・ぼくは すっかり こまってしまった。
こういうのを 「とほうにくれる」というらしい。

そのとき ママが「おやつよ」とやってきた。
でも、ぼくの顔みて、ぶぶっとわらって「どうしたの?」といった。
ひとがこまってるのをみてわらうなんて。
ぼくが ママをにらみかえすと
ママは「ごめん ごめん」といって
ちゃんと「どうしたの?」ときいてきた。
「ごめん」ですめば けいさつは いらないんだぞ!

「なぁんだ。たっくんのたからものかぁ。」ママはかんたんにそういった。
「だったら、ママにすれば、いいじゃない。
たっくんのたからものは「ママ」!どう?」

ぼくは がっくり ちからがぬけた。
「だめ。ママはランドセルに はいらない!」

たしかにママはだいすきだけど
ぼくの<たからもの>ってそうじゃないんだ。
だいたい、ママをたからものにしたら、
家族ぜんいん たからものにしなくちゃいけないし、
そしたら、ますますランドセルには はいらない。

「そっかぁ、ざんねん。じゃ、おやつ おいとくね。」
ママは あっさり ひきさがった。

おやつのドーナツを食べながら
まどのそとをながめると

「やあ!やあ!」と
あおい空としろい雲がこっちをみて手をふっていた。

「ぼくらを たからものにしたら どう?」

「ダメ ダメ」
空や雲なんて それは むり。
だいたい まず ランドセルに入らない。
・・・そりゃランドセルから空と雲が出てきたらおもしろいと思うよ。
だけど、それは ありえない。

「それはざんねん。じゃ、またね!」
空と雲は あっさりふつうの空と雲にもどってしまった。
そのあとは
「おい!」とはなしかけても 
なぜか にんまり しらんぷり。
いったい、どういうことだろな?

はぁぁ。
ぼくは ためいきのレンズをとおして
ちらかりきった へやを みた。

ほうりだされた ランドセルから
ぼくのきょうかしょや ふでばこが とびだしていて
ひっくりかえったおもちゃばこから
ぼくのミニカーや ロボットたちが ひっくりかえってころがっていて
・・・
ぼくは ひとつひとつ もとどおりにしまいはじめた。
ひとつ ひとつ。

そのときだ。
ぼくは見つけた。そいつもじぃぃっとぼくを見ていた。
ひかるペン型のキーホルダーについている海賊マリル。

そうだ。
こいつは、お姉ちゃんの友達が遊びに来たとき
ぼくにって くれたんだ。
ボタンを押したら、ペンがあかやみどりにひかるんだ。
ぼくにって くれたことが
ぼくは とってもうれしかったんだ。

これに 決めた!

その夜、ぼくはいつもより ぜんぜんぐっすり眠れた。
夢の中で、ぼくは 海賊マリルになって
ママの作ったドーナツを食べながら
ぼくのミニカーやロボット達となぜかポルカをおどってた。
あのなまいきな 空と雲も やっぱり にんまり おどってた。

つぎの日。
ぼくは、みんなのまえで ぼくの<たからもの>を はっぴょうした。
「ぼくの<たからもの>はこのキーホルダーです。
お姉ちゃんの友達がぼくにくれました。
これをもっていると なんだか 元気がでます。」
おもったほど「わぁっ」という声はなかったけど
すごく すごーく ほっとした。

これで こいつがほんとうにぼくの<たからもの>になったって気がした。
その日から
このキーホルダーを見るとなんだか元気がわいてくるようになったからね。

せんせいにいいたい。
たからものが みつかったから よかったけど
みつからなかったら ぼく ないちゃったかもしれないんだよってね。
これからは しゅくだいは かんたんなのに してください!
・・・って それは ありえないだろうなー。

*おしまい*
©tukkin 2003.9

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